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あごや口の周囲の手術を受けられた方へ

あご・舌・鼻・顔など(頭頚部領域)の手術を受けられた患者さんにお一人おひとりに合わせたオーダーメイドの治療をご提供します。<顎顔面補綴治療>

 当院へ紹介され来院される患者さんの多くから、手術前のようには「食事ができない」「飲み込めない・飲み込みにくい」「むせる」「うまく話せない」「相手に通じない・聞き取ってもらえない」「鼻声になる」などの困難さを耳にします。手術を受けることにより得られたものも確かにある一方で、失ったものの大きさに気付き、今後の生活に不安を感じ始めるころに、当院へお越しになる患者さんが多いようです。

 当院では、こういった患者様の不安をじっくりと伺い、お一人おひとりにあった最良の治療方法をご提供することで、少しでも機能障害を改善し、早期の社会復帰をお手伝いできるよう努めております。

上顎(鼻・軟口蓋も含む)の手術をされ、口の中に大きな穴が開いている方へ

上顎の手術をされた患者さんの多くが、口と鼻がつながり、食事や水分や声が鼻へ漏れ、飲み込むことや話すことに困難を感じていることと思います。

 手術前は、口と鼻との間に隔たりがあるため、飲み込むことや話すことができます。手術でこの部分の骨(あご)を失っているので、この部分を補い機能回復を図ります。

下顎の手術をされた方へ

下顎の手術をされた患者さんの多くが、手術した部分に食事や水分が溜まったり、舌が引きつって飲み込むことに困難を感じていることと思います。

 溜まってしまう部分をふさぎ、また舌の動きを援助できるような装置を作製し、機能回復を図ります。

 また、下顎の手術を受けた際に、一緒にその部分の歯も失っていることが多く見受けられます。この部分を補わずに長期間経過すると、反対側の上の歯が伸びてきてしまう場合があります。こうなった場合、ブラッシングなどのケアが届きにくくなり、二次的な障害を併発する場合があります。こういった長期的な機能回復の一助も担っております。


舌の手術をされた方へ

人は食事のとき、口の中にものを入れて、歯で噛み、反対側の歯で噛むために舌が塊を作って運んで、さらに噛み砕いたものを、舌が塊にしてのどの奥に運び、のどが肺へ通じる道をふさいで食道まで運びます。この一連の動きを嚥下(えんげ)といいます。

 このとき、舌はとても複雑な働きをしますが、手術によって舌の動きが悪くなると、うまく塊を作れず口の中に溜まりやすくなり、また、のどの奥にうまく運ぶことができず飲み込みにくくなります。こういった舌の運動を助けるような装置を作製し、機能回復を図ります。


お顔の手術をされた方へ

手術によって失った顔面の一部(鼻・頬・眼など)を人工のものを用いて補います。この治療は、ほかと異なり保険適応外となります。

治療の流れ・定期健診(アフターフォロー)

1.まずはご予約ください

手術後の状態を拝見し、お一人おひとりにあった最良の治療方法をご説明ご提案いたします。

 

2.検査・診断

今の状態を精密に検査し、検査結果とそれによる最良の治療方法についてご説明させていただきます。

3.型取り(概形印象・精密印象採得)

特殊な材料と方法でお口の型取りを行います。この工程は通常2回以上行います。

4.噛み合わせの位置決め

かみ合わせの上下左右の位置決めを行います。

5.試適

必要があれば、試適作業を行います。

6.入れ顎・義歯の装着

完成した装置・義顎・入れ顎を装着していただきます。

最終調整および装着方法、日常での注意事項などをご指導いたします。

当院では装置・義顎・入れ顎を入れて終わりという治療は行っておりません。歯科医院でかむ位置と、リラックスできるご自宅でお食事を摂っていただくときにかむ位置は微妙に異なると思います。私たちは、実際にご自宅でご使用いただいた上での調整が最も大事であると考えております。

7.調整

個人差はありますが、手術した創部は手術後~6か月間で急激な変化を伴います。装置・義顎・入れ顎は変化に自動では対応できないため、数週間単位で通院していただき調整を必要とする場合があります。

 その後は、1~3か月間隔で定期的にチェックさせていただき、必要に応じて調整を行います。

※初診の日は、治療に時間がかかることが予想されます(13時ころ)。糖尿病など血糖管理の必要な方は昼食の代わりになるようなものをご持参ください。当院には、食堂施設などはございませんので、患者様ご自身での管理をお願いしております。

※当院は歯科医院です。そのため手術を必要とした疾患・経過観察は主治医の指示に必ず従っていただくようお願い申し上げます。

ホームケアについて

 当然ながら、残っているご自身の歯は毎日のブラッシングなどのホームケアを行ってください。必要に応じて、一般歯科治療や予防処置も併用して参ります。ご希望の方は、ご遠慮なくご相談ください。

 また、同じように装置・義顎・入れ顎も毎日磨いて綺麗な状態を保っていただく必要があります。お口の中に常時入れていただく装置に、食べかすやプラークが付着したままでは口の中の細菌が爆発的に増えてしまい、誤嚥性肺炎などのリスクを高めてしまいます。

 装置・義顎・入れ顎は、いつも使っている歯ブラシ、または硬めの歯ブラシで磨いてください。このとき、破損を防ぐため、歯磨き粉ではなく入れ顎専用のものをご使用ください。